素晴しい秋晴れに恵まれた10月28日土曜日、
石川県・山代温泉に北大路魯山人の足跡を訪ねてまいりました。
総勢7名が2台の車に分乗し、金沢から約1時間、楽しい小旅行となりました。
1….魯山人寓居跡「いろは草庵」
ここは大正4〜5年にかけての約半年間、魯山人が山代温泉に逗留した際に仕事場としていた、旅館:吉野屋の別荘です。魯山人は吉野屋などの刻字看板を彫りながら、山代温泉の旦那衆らと交流を深め美術談義に華を咲かせ、茶会を楽しんでいたといいます。
「いろは草庵」は山代の文化サロンといった場所だったそうです。
5分ほど館内の説明をお聞きした後、自由に茶室や展示室、お庭などを拝見しました。 
お庭を見ながら、須田華窯の湯呑で加賀棒茶と名菓:練羊羹をいただきました。
ずーっとこのまま座っていたいと思う居心地の良さ。
古い日本建築の持つ魅力に惹かれたひと時でした。
この後、須田華窯へ伺い、この湯呑のお値段を見てビックリ!………。
「1個しか買えな〜い!!」
 
お庭の一部に意匠的に並べられた、瓦と炭が素敵でした。
旦那衆と美術談義や食談義をかわしたであろう囲炉裏。
2….九谷焼窯跡展示館
1995年に発掘され、平成17年に国の文化財に指定された、再興九谷窯の跡地です。
古九谷といわれる焼き物は、この山代の地よりさらに奥地の、現:山中町九谷に窯場があったのですが一旦途絶えます。
1824年に吉田屋伝右衛門がその九谷の地で九谷焼を再興するのですが、2年ほどで九谷からこの山代の地へ窯を移築するという、いわば二度手間と思われることが行われました。
初めから山代で窯を築くと「山代焼」になってしまうので、「九谷」という名前を残すためだったという館員の方のお話しを伺いました。(笑)
この山代が場所として選ばれた理由は、材料の陶石・陶土・赤松(燃料)の三つを調達するに都合の良い場所だった....からだそうです。
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吉田屋窯の窯跡を見学。
1万個を一度に焼成できる大変大きな
窯の跡です。
発掘した状態を保護するための、覆屋
が架けられています…。
(設計:内藤 廣設計事務所) |
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古九谷に使われた九谷陶石を拝見しているところ。
陶石は、伊万里や有田焼に比べて白みが少なく灰色がかっているそうです。
吉田屋窯の特徴である重厚な色合いは、その生地の灰色(鼠色)をひろっているからとのこと。
生地の悪さを逆手にとっているのだそう。 |

昭和15年築造、現存する最古の九谷焼の本窯。 |

本窯を間近に見学し、「のぼり窯」の仕組みを教わる。 |
積み上げられているのは「サヤ」と呼ばれる陶器で、
サヤ1つに対し、焼き物1個を納めて焼成中の保護をする物です。
焼き物の大きさにあわせるため「サヤ」の大きさも各種あります。
現在、この「サヤ」は文化財に指定され、貴重なものとなっています。
3….昼食 「ギャラリー&ビストロ べんがらや」
2ヶ所見学を終えたところで、お昼は「おひつ膳」をいただきに「べんがらや」さんへ…。
数種類あるご飯の具材から、参加者の皆さんにはお好きなものを事前にチョイスしていただいておきましたところ、「鮭いくら」が一番人気。次いで「五目」、「うなぎ」、「こんかいわし」が選ばれ、各々お楽しみのお食事となりました。
長い髪が邪魔にならないよう、ゴム輪や髪留めを持参している準備のよい方が数名….お食事に対する強い期待と意気込みが感じられたと共に、ICとして常にきちっとしたお仕事をされている片鱗が垣間見てとれ感心してしまいました。(笑)
和やかに始まったお食事の最初に供されたのが、温泉街では定番の名物「温泉たまご」。
小ぶりのワイングラスといった形状のステム付の美しいガラスの器に盛られた「温泉たまご」は、まず目で楽しませていただき、そしてお味のほうも大変美味しく、二度感激しました。
最後のデザートとコーヒーにいたるまで、お料理の内容・お味・器・盛付ともに大変満足な内容でした。
食後、併設されているギャラリーを拝見し、午後の見学に出掛けました。
4…須田菁華窯
魯山人が初代・須田菁華氏のもとで作陶を始めたことで有名な窯元です。
歴史を感じさせる建物の正面には魯山人が彫った看板が掛けられ、そこをくぐり入った店内は座敷となっていて、普段よく目にする九谷焼とは一味違った、薪の窯で焼かれた逸品がずらりと並んでいました。

須田青華「ぬれ額」 |
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5....白銀屋
温泉街の中心にある総湯や名だたる有名旅館を横目で見ながら、ブラリと散策をしていましたが、そのなかでも特に趣きのある建物である白銀屋さんは、佇まいの美しさにしばらく見とれてしまいました。紅殻格子にうだつ屋根の外観、昔日を物語る壁の馬つなぎ....有形文化財に指定されているのも納得です。
魯山人が、初代:須田華のもとで器に開眼するきっかけを結んだのが十六代当主と伝えられ、魯山人は晩年まで幾度と無く逗留したということです。
広さは6畳ほどだったでしょうか、小さな空間でしたが九谷焼やお菓子などのお土産物が置いてあるスペースが宿泊客以外にも開放されていることがわかり、すぐさま入れていただくことにしました。お土産を買い求めつつ、隣接するフロントホールを見学させていただきました。この地方独特の様式という豪壮な吹き抜けでした。
「白銀屋」外観 フロントホール 魯山人作
フロントホールから奥へは宿泊客とならなければ入ることができません。裏千家家元が設計したという本館内部や文化財の茶室、魯山人や須田華作品のギャラリーなども是非拝見したいので、次は宿泊プランを計画しましょうと約束を交わし「白銀屋」を後にしました。
6...薬王院 温泉寺
白銀屋を出るとすぐ向かい側に、山代温泉の守護寺:薬王院温泉寺があります。
行基上人が温泉守護のために建立し、平安期には学僧ら500人が集い隆盛を極めたといいます。
6月の菖蒲湯まつりには菖蒲みこしがここから出発し、町中が菖蒲の香りに包まれるそうですが
普段の静かな境内を7人で散策し、本堂で仕事の御礼詣りをする者、今後の祈願をする者.....それぞれのおもいで手を合わせてきました。
7...源泉公園 薬壷の湯(足湯)
行基上人に発見されて以来1300年......いまも湧き続ける源泉:瑠璃光を中心に小公園ができ
「薬壷の湯」と命名され、気軽に誰でも足湯を楽しむことができます。
近くの「はづちを楽堂」でタオルを貸していただけるので全員で足湯を楽しみました。
最初は「熱すぎて無理!?」と感じるのですが、すぐに心地よくなり、5分もしますと良〜く温まって、皆の美脚の先がピンクの靴下を履いたようになっていました。

ワイワイと楽しくプチ温泉浴を体験したのち、ポカポカと血行が良くなったのを感じながら、
「はづちを楽堂」までの数十mをスタンプラリーとお買い物をしながら散策を再開!!。
8...はづちを楽堂

山代温泉の中心:総湯の向かいにある、多目的オープンスペースです。
山代大田楽をプロデュースされた狂言師:故野村万之丞氏によって名付けられたということでよく見聞きしていましたので楽しみにしていたところでした。
古民家風に作られた茶店とショップがあり、開放的で入りやすい雰囲気の空間になっています。
旅のしめくくりに、こちらの茶店で一服することにし、スタンプラリーで頑張った人はご褒美のソフトクリームをいただきました。

山代温泉には、魯山人ゆかりのお宿が他にも「あらや滔々庵」「吉野屋」「たちばな四季亭」「山下家」などがありますが、残念ながらどちらも宿泊客以外は見学が許されませんでした。機会があればゆっくりと泊って温泉とお料理を楽しみ、各ホテルが所蔵展示する魯山人の作品を見てみたいものです。
石川に居て、地元:石川を知らないことが多いということから始まった「いしかわ探訪」シリーズ。
今回も「初めて行った所」、「初めて知ったこと」の多い研修会でした。
同じ仕事をしているIC同志での旅は、同じ視点で物を見て話せるので、いつも楽しみにしていますが今回もまたとても有意義な一日となりました。
ご参加の皆様、ありがとうございました。リポートが大変遅くなりましたことをお詫びいたします。
写真:西田 、文・写真:柿本
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