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Vol.15  高橋 敦子さん
今回は株式会社サンゲツさんでインテリアコーディネートのお仕事をされています。
■氏 名   高橋 敦子さん(たかはし あつこ)
■会社名  株式会社サンゲツ 名古屋店北陸営業所 勤務
■業務内容 インテリアデザイン担当 課長
■座右の銘 「虚心坦懐」 (注:虚心坦懐・・何のわだかまりもないすなおな心で、物事にのぞむこと。また、そのさま。) 

 

 今回は株式会社サンゲツさんでインテリアコーディネートのお仕事をされている高橋敦子さんにお話を伺いました。
サンゲツさんのセミナーに参加し、既に高橋さんのお仕事を見せていただいてからの取材となりました。

 

セミナー講師の高橋さん

5月のサンゲツさんのセミナー「最新ホテルのインテリア」〜国内編・パリ編 の講師をしてくださったのが高橋さんでした。
セミナーでは、国内のいくつものホテルに宿泊、インテリアをその場で実際に見ての紹介をしてくださいました。また、パリのホテル7件も実際に訪れての紹介でした。
どこもなかなか見ることの出来ない最高級のホテル。どんな内装仕上げかということだけでなく、インテリアデザイナーやカラー調和論、裏話なども織り交ぜてくださいました。
昨年度には色彩理論を基にしながらのメゾン&オブジェ視察の報告もありました。

楽しそうに次々にインテリアのお話をされる高橋さんへの取材が出来るのが決まったのはその後。
取材は興味深く楽しいものでした。

 

インテリアコーディネーターの仕事

もともとお父様が趣味で画を描き、お母様も趣味で洋裁をしていたことから、身近に絵画や生地や色合わせということがあったという高橋さん。
自然にインテリアが好きになりサンゲツに入社されました。
最初は事務職。まだインテリアコーディネートという仕事がほとんど認知されていないころにICの資格を取得し、社内に専門部署を立ち上げてもらったそうです。

好きなインテリアコーディネートという仕事ですがもちろん嬉しかった思い出、つらかった思い出たくさんお持ちでした。
名古屋勤務のころ、初めてリゾートホテルのインテリアプランを任された時、多くのホテルを回ってプランしたことは特に印象に残る思い出とのことでした。
当時はバブル絶頂期で豪華な内装に仕上がり、注目されたそうです。
その時以降、ホテルのインテリアに興味を持ち、新しくできたラグジュアリーホテルはほとんど宿泊、今でも当時のお仲間のみなさんとホテル巡りを楽しんでいらっしゃいます。

現在は先にご紹介したセミナーのお仕事のほか、サンゲツ製品を使ってのコーディネートを主にされています。
新しいことを考えるのもお好きで、アイディアを会社に提案することも楽しんでいらっしゃいます。

インテリアコーディネートの進め方・インテリアコーディネートに対する思い

依頼を受けたプランを進める時に、必ずしも必要な情報が入手できるとは限りません。 そんな時は図面から家族構成・趣味・嗜好などを読み取り、プランをすることもしばしば。 また、床とキッチンが既に決まっていてそれぞれが調和していない時に、壁・カーテンなどのインテリアでどこまで調和を取り戻すか苦心されることも。

お客様の中にはまだまだカラーコーディネートの重要性をわかっていただいてないことも多いことが残念だと感じていらっしゃいます。
打ち合わせの中で実際のサンプルを合わせてみてご説明すると「合うもの」と「合わないもの」があることをわかってくださるとのこと。
わかっていただいた上でお客様のご意向に沿ったプラン、そしてICとしてプラスアルファのご提案を心がけていらっしゃいます。

インテリアコーディネーターとして必要なものとして高橋さんは「バランス力」「洞察力」「色を見極める力」を挙げられています。
経験はもちろんのこと、高橋さんのICとしてのベースとして高橋さんの趣味(好きなもの)が大きな比重を占めていることもお聞きすることができました。

 

趣味

高橋さんのお話は趣味の事をお聞きするとさらに生き生きとしたものになりました。
とにかく好きなものが多くお話もつきません。

美術鑑賞と建築インテリア探訪がご趣味の中心です。
絵を描かれるお父様がよく連れて行ってくださった絵画ショップは幼少の頃はお好きではなかったそうですが今は絵画が大好きに。海外の美術館へもいらしています。
パリのギュスターブ・モロー美術館を訪れた時には自然に涙があふれてきて、魂が揺さぶられるような感動を味わわれたとのこと。



写真:左/ギュスターブ・モロー美術館  右/3階のアトリエ空間です。モローの絵が所狭しと飾られ、その迫力に圧倒させられます。

たくさん挙げてくださった≪好きなもの≫

  • 好きな建築・インテリア***原美術館(品川)、バカラ美術館(パリ)、ケ・ブランリー美術館(パリ)、ギュスターブ・モロー美術館(パリ)、ホテル・フーケッツ・バリエール・パリ、ホテル・ムーリス・パリ
     
    写真:上/ケ・ブランリー美術館  下/ホテル・フーケッツバリエール

  • 最近一押しの画家・デザイナー***伊藤若冲(江戸時代)、サスキア・オルドウォーバース(オランダ)
  • 尊敬する人物***アインシュタイン(ドイツ・物理学者)、安藤忠雄(建築家)、喜多俊之(プロダクトデザイナー)、ザハ・ハディッド(イラク・建築家)、フランクゲーリー(アメリカ・建築家)、フィリップスタルク(フランス・総合的なデザイナー)、ジャン・ヌーベル(フランス・建築家)、ア
    注*( )内は調べて書き込んだものです。興味深い作品が多いのでご存じない方は是非検索してみてください。

美術がお好きですが、インテリアコーディネーターのお仕事に直接的に生かされることはないとか。
「・・でも構成、色彩、バランスなどデザインに必要な感覚が磨かれるとか、審美眼が鍛えられるとか、多くの影響は受けていると思います。」とおっしゃっていました。

 

インテリアコーディネーターを目指す人たちへのメッセージ

「色彩調和についての理論を学ぶこと、その感覚を磨くことが重要かと思います。さらに、インテリアにはさまざまな要素が含まれていますので、インテリアデザイン関連の勉強のみならず、茶道華道をたしなむ、美術に興味を持つなど、若いうちに多くの経験を重ねることが、行くゆくの自分自身の礎となり、
勇気となって未来を形づくって行くと思います。」

また、ICがICとして活躍できるようになるためには、と言う質問には
「コーディネート=多様なエレメントを調和させる、ということの重要性をアピールするべきと思います。そこにICの存在価値が光るのではないでしょうか。」とお答えいただきました。

 

取材を終えて

美術・インテリアが本当にお好きな高橋さん。ICという仕事も本当に楽しまれています。(もちろん大変なこともたくさんあったそうですが。)
またセミナーなどでお会いできるのが楽しみです。
お仕事の後の取材にお時間を頂きありがとうございました。

今回の取材にあたり、快く現場撮影を承諾してくれた関係者の皆様、そして取材協力のため資料等も提供してくださり、誠にありがとうございました。

● 取材:佐野、掛野

 

 

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