IICAのICの現場2
プロもうなる新しい発見。幅広く活躍されているインテリアコーディネーターの現場を取材しました。
   
Vol.9 新舛 静香(しんます しずか)さん
<常設住宅展示場のコーディネートの事例を拝見>

◎プロフィール
■氏名 新舛静香
■会社名 株式会社スパイラル(代表取締役)
■業務内容 
ハウスメーカー専属のICとしての活動。店舗・住宅の設計、施工。店舗コンサルティング、空間プロデュース、ディスプレイ、ガーデンデザイン

■ICへの道程
 もともと建築業界にいて、インテリアが好きだった。
■趣味 インテリア雑貨のショップめぐり、グリーン栽培
■尊敬する人物 緒方貞子
■今一番したいこと 旅行
 
◎インテリアコーディネート事例紹介
  「北陸スウェーデンハウス」の富山モデルハウスのコーディネートをご紹介します。
北陸3県のスウェーデンハウスのモデルハウスは全て新舛さんによるコーディネート。富山は「北欧系」金沢は「クラシック」福井は「和風」とそれぞれにイメージを作り、差別化しています。
今回おじゃました富山モデルハウスの外観、今年10月で完成してから3年目を迎えます。
■建物(内・外)の至るところに木彫が!
経済産業省からの依頼もあり、新舛さんは井波の木彫を自身のコーディネートのどこかに取り入れようと考えていたところ、スウェーデンハウスのお話があり、「ここだ!」と思ったそうです。職人さんの技はそのままに、井波の木彫の全く新しい姿を見ることができます。


↑ポーチのウッドデッキの上で、ふくろうが
お出迎え
↑玄関の外壁にはスウェーデンハウスの看板がかかっています
 

 

←2階子供部屋の窓は新舛さんがデザインして、職人さんが作った作品です。右の窓と、左の窓は違う職人さんが作ったものなのでよく見ると表情が違います。

   
■カーテンへのこだわり

モデルハウスの中には、さまざまなカーテンがかかっていて、部屋の印象を明るく元気にして
います。1階と2階、また各部屋ごとに違った表情のカーテンを取り入れてコーディネートされています。また、縫製工場に直接足を運び、トリミングの指示を行うなど、カーテンへの思い入れはひとしおです。


↑1階ダイニングのカーテンはバルンシェード

 

照明にも注目!
折り上げ天井で段差の中に間接照明を 付け、さらにペンダントライトで、柔らかな 照明を演出しています。


 2階寝室に併設された書斎
 カフェスタイルカーテン

 

↑2階寝室のカーテン
バルンシェード、バランス、セパレートを組み合わせて落ち着いた雰囲気の寝室に。シックな中にも温かみが感じられます。カーテンだけでなく、照明器具の統一感。シーツとその上のクッション、カーテンとのカラーコーディネートも洗練されています。

 

■100円ショップもひらめきの場!

1階のトイレの壁には可愛らしい緑の葉っぱが舞っています。実はこれ、100円ショップに売っている「ドライリーフ」に色をつけて壁に埋め込んだもの。トイレの窓にかかっているカーテンもシースルーのような薄い生地に葉っぱの刺繍が施されていて、トータルコーディネートも完璧です。遊び心のある、入るのが楽しくなりそうなトイレです。

↑壁に舞う「ドライリーフ」 ↑葉っぱの刺繍のカーテン

 

■落ち着いた雰囲気の和室

1階和室、床の間の壁には植物の形が浮かび上がっています。これは左官仕上げの技術のひとつで、土壁に植物を実際に埋め込んで、土が固まる前に植物を抜く手法。この技術をもっている職人さんは全国でも少なく、東北の方に来ていただいたそうです。

↑1階和室の全景 ↑床の間の壁に浮かび上がった植物の形

 

 

 

↑スウェーデンハウスの引き戸
引き残しをつくらないので、開口が広くとれ見た目も
すっきりしています

↑柔らかなタイルの色と、洗い出し仕上げ
風の「ボーダータイル」が美しい玄関ポーチ

 


↑広々とした吹き抜けのあるリビングでの談話。


↑断熱性の高いスウェーデンハウス
では、薪ストーブ一台で寒い冬も家
の中がぽかぽか。


 新舛さんと中田支店長のツーショット!!

 

■中田支店長より
「モデルハウスのオープンまで日数が少なく、全て新舛さんに任せきりになってしまいましたが、自分の信念をしっかりもっている新舛さんの意見はとても参考になりました。リビングの吹き上げ天井が特に気に入っています。」
■新舛さんにお聞きました

Q.今回のスウェーデンハウス(富山モデルハウス)のコーディネートで一番気に入っているところはどこですか?
A.「仕上げ材、カーテン、照明など、スタイル・バランス・バリエーションを各部屋ごとに、それぞれ違う表情を持っているものを使用し、ご来場されたお客様にできるだけ多くのものを見ていただけるようにしています。」


Q. インテリアコーディネーターとして、何が一番必要だと思いますか?
A. 親身になり、クライアントの要望を満足させようとする姿勢。聞き上手であること。

Q. コーディネートする時、特にどういうことを心がけていますか?
A. コンセプトを明確にする、トータルバランスを大切にする、時代感覚を取り込む

Q. 今までの経験の中で、一番印象に残っていることはどんなことですか?嬉しかった思い出、または苦しかった思い出などを聞かせてください。
A. 初めてモデル展示場物件依頼された時。 プランがスムーズに進まない時や、忙しくて睡眠時間が取れない時

Q. もっとICがICとして活躍できるようになる為には、私たち現役ICは、今後どのようなことを心がけて仕事をして行くべきでしょうか?
A. ・プロとしての自覚。・ICの認知度と対価の向上。

Q. 今後の目標を聞かせてください。
A. 空間プロデュースから小物に至るまでのトータルなコーディネート提案、プロのインテリアコーディネーターの養成

Q. 今後、コーディネーターになろうとしている人達へメッセージを(アドバイス)をお願いします。
A. インテリアコーディネーターは一見華やかに見えますが、相当な集中力、細密さ、根気のいる仕事です。ただし、好きであれば苦労も楽しみに変わります。夢はあきらめずにもち続ければ必ず叶います。



◇取材後記◇
北欧系の住空間に井波の伝統工芸である木彫を取り入れたり、トイレの壁に100円ショップで
購入した「ドライリーフ」を使用したりと、斬新なアイディアには驚きの連続でした。また、中田支店長の言葉をお借りして言うと、カーテンへのこだわりはまさに「信念」だと感じました。遊び心と、 取材時には広いモデルハウス内を順序良く、案内してくれた新舛さん。実際の現場でも明るく、テキパキと仕事をこなす姿が目に浮かびました。

■御礼
夜遅くの訪問にもかかわらず、快く取材に立ち会っていただいた中田支店長。この場をかりて
御礼申し上げます。ありがとうございました。 今後ともIICAの活動にご期待ください。

 

 ※取材/福田、掛野、瓶子 


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