プロもうなる新しい発見。幅広く活躍されているインテリアコーディネーターの現場を取材しました。
Vol.8 大谷 治代さん
富山県高岡市の新築のお宅の設計からインテリアコ−ディネ−トに至るまでをご紹介します。


大谷さんのオフィスで愛娘ちゃんとの
ツーショット!
ママは仕事と育児に超多忙な日々が続いてます。

◎プロフィール
■氏名 大谷治代 
■会社名 2級建築士事務所・インテリアコーディネーター事務所
  ”Demi Planning”代表
■業務内容
住宅・店舗の設計、コーディネート、モデルハウスのプロデュースからエクステリア、ガーデンデザインまで手がけ、また、専門学校での講師の仕事など多忙な毎日です。今後は集合住宅のプロデュースにもチャレンジしたいと、とっても意欲的な大谷さんです。

■ICへの道程
住宅の販売という仕事に携わっていた時に、仕事をしていく上でコンサルティングとしての勉強が必要と考えインテリアコーディネーターの資格を取得されました。
■注目している素材
木以外の自然素材、和紙、石、鉄、ガラス、職人が造るもの。
■趣味
現在1歳の女児の母である大谷さんは、仕事以外の時間は全て子育てに費やし、いつか、どこかへ親子で旅行をするのが夢だそうです。
■好きな画家 王 子江

■座右の銘 継続は力なり


◎インテリアコ−ディネ−ト事例紹介。
(富山県高岡市の新築のお宅の設計からインテリアコ−ディネ−トに至るまでをご紹介します。)

 

■お客様データ
2世帯住宅:
親世帯(50代のご夫婦と20代の次男さん)+子世帯(20代の長男さんご夫婦とお子様)の6人ご家族。
コンセプトは“花火の見える家” です。

12月11日土曜日の午前、くもり時々小雨、私達は富山県高岡市の出来たてホヤホヤのU邸の取材に
お伺いしました。U邸は設計からインテリアコーディネート、造作家具やオリジナル建具のデザインに
至るまでトータルに大谷さんがプロデュースされた現場です。


  ■U邸外観…ブラックとグレーのカラーコーディネート
門の所や、裏庭に立派な松がたくさんあるお宅です。既存の建物を取り壊し、そっくり同じ場所に新築しました。木造パネル工法による3階建てで、一部ルーフバルコニーがあります。(施工面積約90坪)富山県の花火ー高岡・伏木・小杉などーを屋上部分に位置するテラスから360°のパノラマビューで楽しむことの出来る夢いっぱいのお宅です。 外壁は、ブラックのスパンドレル(ガルバリウム鋼鈑)とグレーのサイディングの組合せです。
Fにはシアタールーム、3−4Fにはルーフバルコニーがあり、ご家族でバーベQを楽しんだり、
花火を楽しんだり、またお風呂からお庭が見えるようになどなど、ご家族の夢を実現させた造りに
なっています。また、お施主様の゛鬼門゛へのこだわりが快適で、機能的な、間取りとなっています。
3F部分に親世帯のプライベートスペースがあることに、あれ?と思われるかもしれませんが、
2、3年後にはエレベーターをつけて行き来するようにするそうです。

 

■完成までの流れ

H15年8月〜
ご家族皆様との打ち合わせスタート。
お施主様と建築ご担当の工務店様とどの工法で家を建てるか展示場を見学しながら検討スタート。
H16年5月初旬〜 
着工。
H16年12月
完成引渡し。

■U邸内部探訪
1F:2世帯の共同スペース(DK、L+たたみコーナー、和室、トイレ、手洗いコーナー)

床…こげ茶色のウォールナットのフローリング
壁…薄ピンク色の珪藻土塗り壁

大谷さんデザインの玄関収納
玄関の扉を開けてすぐ目に飛びこんでくるこげ茶とシルバーの玄関収納。

奥様こだわりのターコイズブルーの洗面ボウル
また下部収納開き戸は、玄関収納と同じシルバーで
統一感を出しています。


 


和室のイメージパース


書院部分の障子*堅く窮屈になりがちの和室も障子桟のデザインを変えるだけで雰囲気が柔らかくなります。
障子ももちろん大谷さんデザインです。


10畳の和室へ入り口部分の踏込み
床…黒御影石
壁…もみ和紙(墨染めの繋ぎ目のないロール和紙)

リビングに続くたたみコーナー カバー付蓄熱暖房機 システムキッチン
一続きになっているキッチン、リビング、たたみコーナーには旦那様のこだわりでタモの無垢材での
腰張りがしてあります。床はこげ茶色のウォールナットのフローリングで、腰張りの色とコントラスト
が激しいように感じますが、窓に茶系のストライプのカーテンをかけることで、視線をカーテンに引きつけ、
全体を調和させてあります。たたみコーナーの収納は、扉をアウトセットにし額縁部分を隠すことにより、
すっきりとした印象に仕上がっています。
蓄熱暖房機には、使わない時、隠しておけるカバーがついています。
大谷さんの細やかな心遣いが感じられます。
 
 

2F 子世帯のプライベートスペース (セカンドリビング、寝室、子供部屋X2)
床…白系のフローリング 壁…白系のクロス


 子供部屋

主に長男さんご夫婦のプライベートスペースとして使用予定。2Fは床も壁も白を基調とし、
入り口や収納の扉に黄や赤、青などのポップな色を使ってあります。写真の部屋は、現在は
結婚されていない息子さんが使われていますが、将来は長男さんご夫婦のお子様のお部屋
として使用されます。

 
   
カーテンの布地、プリント柄をフラットに見せるためタブスタイル(トーソー)を起用されています。

ミニキッチン付のリビングルーム。20代のご夫婦にぴったりのビタミンカラーのすがすがしいカーテンがかかっています。
 
  シアタ−ル−ム(7.5畳)

イメージ パース     シアタールームには85インチの大型スクリーンがとりつけてあります。
  <大谷さんからシアタールームの説明>
蛍光灯のダウンライト(全般照明として使用)と白熱灯のダウンライト(調光機能有り)を併用し、
シーン別に使い分けることが出来るようにしました。3階建ては高さに規制があるため階高を抑えてあり、
天井高2400とることが精一杯なのですが、上階にお部屋を設けずにシアタールームの天井高を
3メートル確保しました。また、カーテンは遮光、防音を考慮し、外部側と内部の部屋と面する壁側及び
入り口部分全面に下げるようにしました。
 
 

親夫婦の寝室のイメージパース

洗面コーナー

お庭の見えるシステムバスルーム

液晶テレビ付
  洗面脱衣室からテラスに出ることが出来ます。広々としたテラスは2方向を
取り囲むように配されており、お施主様のご希望で、バ−ベキュ−が出来る
ように簡単なシンクも備え付けてあります。
  ウッドデッキのバルコニー
また、3Fバルコニーからタラップで登ると4Fにもバルコニーが
あり、ここから富山で開催される花火が360°の視界で
楽しめるとのことです。

■大谷さんへの質問

1)コーディネートする時、特にどういうことを心がけていますか?
色の足し算と引き算…色が増えすぎたら、他の部分で減らして、
色の洪水にならないように気をつけています。
お施主様の好きなスタイルに近づけ、かつどこかにオリジナルなものを提案するようにしています。

2)インテリアコーディネーターとして何が一番必要ですか?
お施主様のイメージの企画、構築、提案ができること。予算、工程、現場管理ができること。
そして何よりお施主様やその他家造りに関わる全ての方とのコミュニケーション能力があることです。

3)他のインテリアコーディネーターに一言
経験こそ力なり。自分の許容範囲を越えた仕事でもあえて兆戦していきましょう。

4)インテリアコーディネーターを目指している方へ一言
やりがいのある仕事だと思います。ぜひチャレンジしてください。

■お客様の声
大谷さんには何度も打ち合わせに足を運んで頂いきました。出来上がりまでいろいろ要望は出しましたが、
細かい部分はお任せしました。
とても満足いく仕上がりでこれからもいろいろ相談にのっていただくつもりです。

◇取材後記◇
お施主様は、50代の親世帯と20代の子世帯が一緒に住まいされる訳ですが、
ご家族それぞれにご自分なりの思いをお持ちですが、大谷さんは何度もご家族一人一人とお打ち合わせをされ、
家族の住まい方の調整・調和に心血を注がれたことを感じました。
今回特に印象に残りましたのは大谷さんの基本設計プランは鬼門を考慮したゾ−ニング、レイアウトを
実施されたことでした。実施設計までにはかなり変更があったにもかかわらず、お施主様の一番気にされいる
ところを図面で解りやすく表現し承認を得ながら進められたことです。
また、取材当日は玄関・ホール部分の壁の塗りなおしの乾かぬ時期でしたが、それは、指示していた仕上がり
になっていなかった事へのこだわりからのやり直しの結果でした。
妥協せず、自分が納得がいくものを責任持ってお施主様に提供をするという大谷さんの姿勢が感じられました。お昼からはお施主様のご家族が引越しされました。
それぞれがとてもいい笑顔で満足されている様子が伝わってきました。

■御礼
取材にあたり、U邸の皆様にはこころよくご協力いただきました。誠にありがとうございます。
今後共ICの活動にご期待下さい。

*取材:佐々木優子、山岸絵理


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