Vol.28 小林 里英 さん
Vol.28 小林 里英 さん

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■店名
カーテンスタジオホーク

■業務内容
店内での接客・営業・オーダーカーテン・窓廻りを中心としたトータルコーディネート提案

■経歴
金沢科学技術専門学校 建築学科インテリアデザインコース卒業。ICアシスタント・カーテンメーカーショールーム勤務等も経験し、現在ではカーテンスタジオホークの窓装飾プランナーとして活躍中

■趣味
ドライブ・音楽

■好きなデザイン
ウィリアムモリスをはじめ好きなデザインが沢山あります

■座右の銘
一期一会

 

今回は、小林さんが担当したサンルームの窓装飾事例をご紹介します。
お施主様は、プロジェクションマッピングを世に生み出した某会社社長が在籍される事務所。
建物の外観は飛行機をイメージされたそうです。
40年前に建てられたとは思えない程、斬新なデザインとディテールが素敵な建物です。

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そして敷地の奥に、奥様こだわりのイングリッシュガーデンがあります。
そのこだわりの庭が望めるサンルームの窓装飾提案を奥様よりご依頼いただきました。
そのサンルームの形状も複雑で、垂直な壁がひとつもなく、窓も逆三角形で下に向かう程幅が狭くなる形状でした。
西日が強い窓でしたが、建てられてから約40年経過する中で、日光を和らげていた樹木もいたみ伐採されてしまい、庇も撤去されてしまった為、夕方になると強い日差しで部屋が暑くなってしまうような窓でした。

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どことなく、隠れ家的な雰囲気を感じます。
アプローチにはレンガを敷き詰め、木製の可愛らしいドアが入口へと誘います。

 

Before↓↓↓
勾配窓のためカーテンをさげても納まりが綺麗にならず開閉もスムーズに出来ず、機能的ではありませんでした。
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After↓↓↓
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お施主様は、初めカーテンを望まれていましたが、猫を飼われている事もあり、布系の物を使用するとメンテナンスも含め難しいと感じ、中と外をつなげる役目として、カーテンではなくウッドシャッターを選択されたそうです。

そうする事で、西日を柔らかく調整しつつお庭を楽しむことができるようになりました。

窓の木枠は職人さんが手作りしたもので、上下左右共にサイズが違いました。そこでミリ単位で枠ごと特注製作ができるウッドシャッターのエンジニアさんに図面をおこしていただき、取付の際も、微調整しつつ、無事収めたとのことで現場での苦労も感じ取れました。

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サイドの小窓と出入用の大窓のコーディネート

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ご家族が描かれた作品の絵画や、奥様こだわりの美術品に寄り添うカーテンをコンセプトに考え、ドイツの輸入ファブリックJABの高級ジャガードを選ばれたとのことです。色は奥様が直感で『ピーコックグリーン』孔雀の羽の色のような鮮やかなカラーをチョイスされました。

この『グリーンカラー』のチョイスが、カーテンとお庭の中と外をつなぐ役割を担っており、サンルームという空間にとても馴染みます。また、職人の手仕事を感じる紐状のタッセルは、日焼けをしにくい光沢感のある人工シルクのビスコースレーヨンが用いられ、高級感と心温まるエッセンスが添えられています。

 

まるで海外の絵本の中のような空間

海外の様々な文化を身近で常に感じたいという奥様の思いを演出しました。カーテンが主張すぎる事もなく全体が程よく調和し、カーテンを開くとサンルームらしい中と外のつながりを感じる空間に。カーテンを閉じるとまた違った表情の空間を楽しめます。日当たりの良い窓ということもあり、カーテン地に裏池をつけることで日焼けを防いでいます。

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Q 小林さんがこの現場に携わって感じた事を教えてください。

A .奥様は建物にとても愛着を感じており、メンテナンスを繰り返しながら、大切に使われていることが伝わりました。その唯一無二の空間を一緒に守っていきたいと感じました。良い建築を次世代まで守り続けるには、大切にするオーナー様の思いが非常に重要だという事を改めて感じ学びました。

そのような素敵な人と建物に出会える事もこのお仕事の醍醐味だと思います。

 

小林さんに聞きました

Q. インテリアコーディネーターになろうと思ったきっかけを教えてください

A. 当時、父がインテリアメーカーに勤務していた事もあり、子どもの頃から遊びに連れて行ってもらうのは、住宅展示場でした。そこで調和のとれた空間が人の心を癒すということを体感し、インテリアコーディネーターへの憧れが増したのを覚えています。学生の頃は雑貨屋さんやインテリアショップ巡りがとても好きで、気づくとインテリアをもっと学んで仕事にしていきたいと思うようになっていました。今はオーダーカーテンを提案する仕事がメインですが、空間を生み出すお手伝いを日々させてさせていただける事に、深く感謝しています。

 

Q. ICとして、何が一番重要だと思いますか?

A. 施主様が何を一番に求めているのか、そこを整理していく事だと思います。

その整理したものをカタチにできるように、分かりやすくお伝えしていくこと。こちらが一方的にではなく、『お客様と共に作り上げていくこと』そこが重要だと思います。オーダーカーテン という特性上、仕上がったイメージはとても分かりにくいもの。お客様に生地感、透け感、光の当たり方、様々な角度から見たイメージをお伝えさせてもらいます。そのイメージをいかに分かりやすくお伝えするか。その為には、常日頃から表現方法をメーカーのセミナーで学んだり、現場に足を運んで打ち合わせ用の写真を準備したり、新しい商品についてもアンテナを張り商品知識を常にアップデートして、広い視野を持つ事が大切です。IICAの様々なイベントで、カーテンだけではない様々な分野のインテリア空間を学ぶ事で、お客様との話をより広げることができるようになりました。

 

Q. コーディネートする時、特にどういうことを心がけていますか?

A. 全てのものに、視点(捉え方)を変えると、それぞれに多かれ少なかれメリット・デメリットがあります。その視点をベースに、お客様が冷静に判断ができるようにアドバイスすること、また長く愛するインテリアを楽しんでいただけるような提案をすることを心がけています。

 

Q. 最近のお客様の傾向を教えてください。また小林さんが注目しているものはありますか?

A. 天然繊維の認識が変化してきているというのを、ここ数年感じます。今までクレームの元になる事で避けられていた天然素材が、インテリア空間に豊富に使われ出しています。私が担当するお客様の多くが、リネンカーテン(又はリネン混やリネン風素材)を選ばれています。

リネンは布の中でも強い生地なので安心して使っていただけるようおすすめしています。直射日光に対して退色する(リネンに限らず、ほとんど繊維が紫外線の影響を受けると退色しますが)湿度によって伸び縮みが起こる、そんなデメリットも踏まえつつ、それも天然繊維の味わいとして空間を愉しむ。そんなご提案をさせていただいております。強い繊維のリネンだからこそ、近い将来、リネンカーテンの染め直しの需要が増えてくるのではないかと思っています。

また、先端繊維技術が豊富な日本ならではのユニークな生地がたくさん出てきた事で、様々なファブリックスが空間の空気感を変化させ、空間の無限の可能性を感じます。

※リネン 日本ではリネン製品のことを(製品)と呼ぶ場合が多い。海外より伝わった似たような質感の亜麻などを含めた植物繊維全般を指して「麻」の名称を使うようになった。

 

Q. 今後の目標を聞かせてください。

A. いずれは、もっと大きな現場で、アートを楽しむような感覚で大勢の人々に喜ばれる空間を創るお手伝いをさせていただきたいと思っております。『空間が人をつくる』『人が空間をつくる』その熱い思いを抱き続けながら仕事をしていきたいです。

 

小林さんが勤めるカーテンスタジオホーク小松店の北欧調の店内には、北陸でも珍しいアイテムが幅広く展示されています。

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カーテンスタジオホーク
リンク先 https://houku.com/

 

その他 施工例(金沢市内の某住宅コーディネート)

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無垢材を贅沢に使ったリビング空間。あえてファブリックは上品な無地テイストのものに。ホテルライクなイメージが好きな奥様に合わせて、ドレープ生地の落ち感が綺麗に出るファブリックをチョイスしました。上品な透け感のレースは中庭も程よく楽しめます。

収納扉の干渉もあり、カーテンレールは枠内に納めつつ、ドレープ感を楽しめる窓になりました。

木製ブラインドは、スラットの色もサイズも特注で、マットな塗装の質感が建具と調和する雰囲気を演出しています。

 

編集後記

今回、小林さんを取材させて頂いて、日々お客様の求めているものをお客様の期待以上のものでご提案されている姿にプロ意識を感じました。小林さんは提案力だけでなく、「この人なら相談してみたい」と思わせる雰囲気や人柄をお持ちの方です。今後もIICAでの学びも活かしながら、悩めるお客様のために、ますますご活躍いただきたいと思います。また、小松市にあるのホークさんのショールームも見どころいっぱいですので、ぜひ一度足をお運びください。

 

取材:掛野・高野

編集:掛野・西村

写真は、カーテンスタジオホークさんよりご提供いただきました

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