
Vol.20 松尾 博行 さん
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Vol.20 松尾 博行さん
(有)マックユニオン 代表取締役社長
■ 氏名
松尾 博行
■ 会社名
(有)マックユニオン
■ 業務内容
新築注文住宅・リフォーム・海外ブランドの設備機器輸入・販売。
【KOHLER(アメリカ)、グローエ(ドイツ)、メリットキッチン(カナダ)など】
社長でありながら、営業から設計、現場監督、家具造りや住設機器の取り付けまでをも行う。
■ 趣味
サッカー(観るのも、するのも大好き)
■ 尊敬する人物
フランク・ロイド・ライト(アメリカの建築家)
■ 座右の銘
「住むごとに魅力的な家をつくる」こと!
今回ご紹介するのは、IICA賛助会員である(有)マックユニオン代表取締役社長の松尾博行さんです。
まずは、マックユニオンさんの新築注文住宅2棟をご紹介します。
☆ その1
『ヨーロピアンスタイルのネイルサロン併設住宅』
~ヨーロピアンスタイルの外観~
外壁には、スイス漆喰(しっくい)の「カルクウォール」が塗られていました。
目にも眩しい純白な外壁なので、後々の汚れが気になるところですが、この「カルクウォール」は、強アルカリ性のため、たとえ汚れやシミが付着しても、日光の作用により、再び白さが元に戻るそうです。
玄関を入ると、ホールには飾り棚と収納があり、収納扉を開くと、奥には青いクロスが貼られています。
見えない所にもこだわりが感じられます。
ホールからリビングにつながる引き違い戸のガラスには、リーフ模様のシートが貼られています。
目隠しの効果と装飾の効果があります。
また、可愛らしいニッチ棚が壁の各所にリズミカルに配置されています。
カウンター部分のデザインもこだわってありました。
リビング全体も外観のように、ピュアホワイトを基調とし、リビング柱の飾り縁、アールの垂れ壁、ステンドグラスの入った扉など、ヨーロピアン風に統一されたデザインになっていました。
階段の手摺りには、クラシカルなロートアイアンを使用。
こちらもヨーロピアンテイストな雰囲気満点です。
洗面化粧台とトイレの手洗い器には、海外から取り寄せたという水栓とボウルを使用。
エレガントな雰囲気があります。
システムバスのシャワー水栓も既製品を取り外し、グローエ社の水栓を使用。
白いクローゼットの扉の取手はクリスタルのオリジナル品を使用。
細部までこだわり抜いています。
中2階部分には、本棚スペースがありました。
その書棚には、オリエンタル調なクロスが貼られていて、気分を替えさせてくれます。
ペンダント照明も素敵です。
2階へ上ると、鮮やかなブルーのグラデーションが冴える、モザイクタイルの貼られた洗面化粧台が視界に飛び込んできます。
松尾さん自らがデザインし、また、施工にもお客様と一緒に参加し、1枚1枚吟味しながら貼られたそうです。
イタリア製の鏡の後ろは収納になっており、貝殻形状が素敵な洗面ボウルと組み合わせた、全くのオリジナル洗面化粧台となりました。
お客様も施工に参加されたという事もあり、長く大事に使っていただけそうです。
寝室や個室はプライベートな空間ということで、ここではご紹介できませんが、一品一品、職人と共に丁寧に造り上げ、細部までこだわり抜く姿勢が見られたお住まいでした。
☆ その2
『遊び心と工夫のいっぱい詰まったシンプルモダンな家』
黒を基調としたシンプルモダンな外観に、木目のドアが温もりを感じさせます。
玄関のアクセントになっている黒い壁は、なんとフロアタイルでした。
テラスからの陽光に包まれる明るいリビング。
窓の外には、黄金色の稲穂が一面に広がっていました。
まさに借景です。
家族の会話も弾むオープンキッチン。
ライトグリーンの壁が鮮やかです。
正面だけでなく、サイドにも開口があるため、圧迫感がなく面積以上に広さを感じさせてくれます。
また、カウンター下には食器棚を造作。扉をキッチンパネルで製作したので、軽く丈夫で、汚れもサッとひと拭きできます。
また、リビングに隣接して、一体化させて使える3帖大の和室があります。
川の字でお昼寝もできますね。
間仕切って客間としても使えます。
天井まである大きな戸襖は、和室側は朱色、リビング側は浅葱色で部屋のアクセントになっています。
洗面脱衣室とバスルームは、白い内装で清潔感を演出。
洗面室は収納もたっぷりです。
システムバスは日ポリ化工の「オーバル」、シャワー水栓はグローエ社製。
来客も利用する1Fのトイレには、ブルーの手洗いボウルにグローエ社の水栓を。
2階の洋便器の奥の壁にはレインボーカラーのクロスを使用。
小さな空間にも、おもてなしの心と遊び心が感じられます。
1階と2階のヒートショック(急激な温度変化が身体に与えるマイナスの影響のこと)をなくすために設けられた、エアダクト効果のある吹き抜け。
2階からは飾り棚のように見えます。
この吹き抜けのおかげで空気が対流し、冬場は1階の暖気を上に、夏場は上から涼気を下ろす役目を果たします。
2階寝室のおしゃれなシャンデリアペンダント照明。
天井に写った影が、まるで羅針盤のようでムード満点です。
今はまだ幼いお子さん達の子供部屋。
将来は3部屋に間仕切ることができます。それぞれの入り口の扉の上にはブルーとピンクのガラスブロックが嵌め込まれていて、ここにも遊び心が感じられます。
また、天井には室内ブランコが掛けられるフックが付いていて、子供たちが楽しく遊ぶ笑顔あふれる光景が目に浮かびます。
どの部屋にも細かい工夫と配慮が施された素敵なお住まいでした。
インタビュー Q&A 『松尾さんに聞きました』
■ この仕事に就こうと思ったきっかけを教えてください。
A:今の仕事に就く前は、設備屋で仕事をしていました。そんな時、お風呂場で水漏れ等が発生し、現場で手直しをするのですが、タイルを斫り、ボードをまくり、柱や梁を移動させたりと、結局は建築工事全て必要で、初めからきちんと施工をしていれば、こんなことは起こらない、他人には任せられないと思ったのがきっかけでした。
■ 仕事をする時、特にどういうことを心がけていますか?
A:お客様の思いを、より沢山取り入れるように心がけています。そして、本気なお客様に対して、本気で応えています。本当に質の良いものは、真に良いので、金額ではないんだということを、ご納得いただけるようご提案し、勧めています。
■ 今までの経験の中で、一番印象に残っていることはどんなことですか?
A:この仕事に就いてから、第1棟目が完成した時です。それと、父から仕事を受け継いだ時ですね。
■ インテリアコーディネーターとの関わりで、どんなことをコーディネーターに期待しますか?
A:年月が経っても色褪せない、変わらない、そして真の美しさを求めてほしいです。また、ご自身のご家庭も大切にしてこその仕事ありき、デザインありきだと思っていますので、プライベートな時間も大切に。また、お客様にとっては、一生ものの大事業なので、お客様のローンが完済するまで、竣工した後の時間の経過や、修繕のタイミングまでも頭に入れて、一生のお付き合いをする覚悟で仕事に臨んでください。
■ 今後の目標を聞かせてください。
A:マックユニオンに携わった人達、請負業者様達をつぶさないことです。お客様の真剣さに対して、職人ひとりひとりの気概はどうなのか、何を思って仕事をしているかなど、こちらも親身になって接し、意見を聞きながら、長い年月が経っても、マックユニオンとずっと付き合ってくれる請負業者様と共に成長していくことです。
■ 今後、コーディネーターになろうとしている人達へメッセージ(アドバイス)をお願いします。
A:経験できることは何でもトライしてほしいです。周りには建築やコーディネーターの本などもたくさんあるのだから、それらをたくさん見たり読んだりして、先代の知恵を学んでください。
最後に、(有)マックユニオンさんの素敵な事務所兼ショールームをご紹介します。
貸し倉庫だったところを、松尾さんが中心となり、社員皆で改装した手作り事務所には、所狭しと、雑貨や建築・設備部材、照明器具からキッチンに至るまで、あらゆるものが展示されています。
グローエ社の各種水栓。
事務所トイレ
壁にはステンシルで描かれた模様が。
松尾さん自ら描かれた設計図面及び提案図。
取材後記
今回の取材では、2棟の新築内覧会と、事務所兼ショールームへおじゃまさせていただきました。2棟とも、それぞれのお客様の嗜好に合わせつつも、マックユニオンさんらしい提案が行き届いているのがわかり、細部までこだわりが感じられました。松尾社長の一棟一棟、一部屋一部屋、一部分一部分に至るまでひとつとして妥協しない姿勢を感じました。
また、熱意を持って、お客様の為に一生懸命、家造りを心から楽しんでいる様子が伺え、私達取材陣も大いに刺激と感動を受けました。
松尾さんは本当にお話の大好きな方で、建築のことを熱く語り出すと止まらなくなるのですが、優しい笑顔と語り口調で、話を聞いている側は自然と松尾さんの世界に引き込まれていきます。
お客様から職人に至るまで、家に携わる全ての人達への思いやりを忘れず、末永い将来の維持管理も見据えたお考えと行動に、今後も益々、マックユニオンさんが発展して行く確信を持ちました。
マックユニオンさんで飼われている元気な猫ちゃん。
名前は「虎鉄くん」。
(有)マックユニオン ホームページ
http://www.mac-union.co.jp/
取材:IICA広報部会(掛野・西村・吉崎・小島・吉川・高野・森田)
文:高野美穂・掛野俊介
写真:吉崎真弘・掛野俊介